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小内光『スペシャル・タイム』

¥3,850 税込

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小内光の初短編集。12の物語が収められています。
書籍設計は明津設計によるもの。栞としても使用可能なカードが付録としてついています。

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この「スペシャル・タイム」という本には 12 のタイトルを与えられた物語が収められています。
短編集という形を取ってはいますが、わたしはこの本を「一つの長い命」の中の断片的な思い出のように構成したいと考えていました。
思い出 / 思い出すという行為はごく日常にありふれていながら、時に生きている人を遠く、深い穴のような、死に近い場所まで連れて行ってしまう危険な行為でもあります。
ここで思い出として書かれたテキストは約 7 年分のたくさんの未発表原稿の中から選ばれたものを核に、新たに書き下ろし数編を加え、編み直したものです。過去に一度書き終えていた物語には収録にあたり大幅な加筆修正を行いました。それは全体を何度も往復しながら読み通し、物語をもう一度開き、壊れないようにそっと運んで、いびつながら一つの形を浮かび上がらせるという不思議な作業になりました。
過去作の『300 年のヒント』『わたしの虹色の手足、わたしの虹色の楽器』『宝石の展望台から湖が見える』は、いずれも人間の身体に訪れる寿命をテーマに扱った本です。あまりに短い(と感じている)命を引き延ばすため、わたしはメモのように文字を貯蔵します。100 年後にまた同じ季節が来て、わたしの身体や住んでいた家が跡形もなくなくなった後の草むらで。もしくはもう二度と会うことのできない友だちについて。思い出すということの魔術的な作用が生きている身体をリアルタイムで作り変えていくことは、怖くもあり、希望でもあるように感じています。少なくとも、死が全てを別つのではない、という感じがするから。死んでしまった人とまだ生きている人の間を思い出が行き来すれば、人間はそれぞれが孤独に一つの命を運んでいるだけではないという気がするのです。あまりに寂しくておかしくなってしまったわたしたちが、思い出し、思い出され、編み目のような命のなかであいまいな死を迎えられますように。
地球が寂しくない星になりますように、という願いを込めて、このスペシャル・タイムという本は作られました。
2026 年 3 月 4 日
小内光

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